4.心臓ユニット

川口ゆい(ダンサー・振付家)
心臓は生命を維持するために毎日10万回以上拍動していますが、私達は、その鼓動を、緊張した時や怪我をした時など、特別な場合以外、意識することはありません。本作品では自分自身の鼓動を振動スピーカーを通じて、リアルな触り心地とともに、身体外部に感じ取れます。受胎後約21日目から、生命の最後の瞬間まで拍動し続ける、自分の心臓としばし触れ合ってみましょう。

[協力]
坂倉杏介(首都大学東京)、安藤英由樹(大阪大学)、渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
[スーパーバイザー]
石橋義正(映像作家、京都市立芸術大学)


  本展示「心臓ユニット」の初期モデル(触れる部分が心臓の形ではなく箱型の装置)は、ワークショップ「心臓ピクニック」で使用さています。「心臓ピクニック」は、同チーム(川口、渡邊、坂倉、安藤)によって、2010年から断続的に日本各地で開催され、これまでに多くの人が、鼓動に触れ、自分や他人の生命を再認識するという体験をしました。
  また、この「心臓ピクニック」は、2014年6月から2015年2月にかけて、心音を通じて人と人をつなぐプロジェクト「スマート光ハートビートプロジェクトsupported by NTT西日本」においても実施され、そこからの着想により、NTT西日本によって新しいサービス「Heart Beat Memory」*が開発されました。
Heart Beat Memory

西日本電信電話株式会社

「Heart Beat Memory」は、NTT西日本が開発した、心音を活用した新しいコミュニケーションのカタチを提案するサービスです。“心音”つまり、わくわくドキドキを、人生の様々なライフイベントの中で記録し、アクセサリーを通じて体感、身近な人同士で共有することができます。

開発者紹介

川口 ゆい
幼少より踊り始め、現在はベルリンをベースに、様々な国際フェスティバルにて作品を発表。世界27 カ国で30 万人以上を動員している"Red Bull FlyingBach"(エコークラシック特別賞受賞)のオリジナルキャストで、女性パートの振付も担当している。2014 年に発表された映像作家・石橋義正との「MatchAtria」では、観客全員に「心臓ユニット」を配り、自らの心音を観客の手元に送りながら、3D 映像とバイノーラルサウンドを絡めたパフォーマンスを展開。作品は現在ヨーロッパ各地をツアー中。
http://www.mendora.com/

関連文献

  1. 【単著】 渡邊淳司 著、(2014)、「情報を生み出す触覚の知性 -情報社会をいきるための感覚のリテラシー」 化学同人
  2. 坂倉杏介、渡邊淳司、川口ゆい、安藤英由樹、(2012)、「「生命」のシンボル・グラウンディング 鼓動に触れるワークショップ「心臓ピクニック」の評価と展開」、アートミーツケア学会オンラインジャーナル Vol. 4/2012 pp. 20-29

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